狙った筋肉に本当にアプローチできているのか?
腰痛 鍼治療編
腰部筋群左右のバランスに影響する筋肉として腰方形筋がある。この筋肉の収縮不全は身体のバランスを崩すだけではなく、腰部の外側深部の痛みの原因となる。
体幹の背屈、同側回旋、同側側屈にて痛みが増強する。写真のような姿勢パターンの方で腰痛を訴えていらしたら疼痛誘発動作検査の後、骨盤を引き上げている側の腰方形筋に刺鍼をする。
そこでもう一度確認してみよう!本当に腰方形筋に鍼は届いているのだろうか?
腰背部の筋肉 の繋がりはどうなっているのか。胸腰筋膜という膜組織が存在し、胸腰筋膜は、脊柱起立筋、多裂筋、腰方形筋を包み込んで、これらの筋が収縮する時に筋を支持する。
この胸腰筋膜に腹横筋、内腹斜筋の繊維が一体化していく。その部分を外側縫線といい、広背筋も一体化している。
実はこの外側縫線を腰方形筋と誤って認識していることが多い。腰方形筋の解剖学をエコー観察してみよう。エコー観察のランドマークとなるのは腰椎の横突起でその深さは次のようである。
気海兪穴を基準とした横断面では、鍼を体表より刺入すると皮膚を4ミリで貫き、皮下組織を5ミリで貫いて、固有背筋群を30ミリで貫き第4腰椎横突起に39ミリで達した。
側臥位で腸骨稜の上縁に硬く触れる筋は広背筋であり、骨盤挙上動作では腰方形筋と一緒に収縮する。側腹部にある外腹斜筋との間に腰三角部が確認される。したがって側臥位での刺鍼でも広背筋をとうしての腰方形筋へのアプローチとなる。
腰方形筋へのアプローチは横突起腹側への深さを考慮した慎重な刺鍼が重要と考える。
引用文献 Fasciaリリースの基本と臨床 文光堂