臀部での坐骨神経の絞扼といえば梨状筋が坐骨神経を圧迫する梨状筋症候群が有名です。しかしながら梨状筋をリリースしても症状が改善しない
坐骨神経痛があります。
その一つとして患者様の症例をご報告いたします。
内閉鎖筋複合体による圧迫です。これは内閉鎖筋と上下の双子筋を合わせた総称で、坐骨神経の下に位置しているためにこの筋群の緊張が高くなったりすることで坐骨神経を圧迫するということです。
症状としては座位姿勢が長時間続くと臀部から下肢にかけて痛い。長時間の歩行で痛いなどです。特に骨盤の後傾が強くまた高齢で大殿筋の筋の萎縮が生じていると直に座面にこの筋群が圧迫されるということがあります。
坐骨神経が興奮した状態にあるので梨状筋を触診しても痛みは生じますが、内閉鎖筋群の位置での圧痛が著名となります。
筋群のリリース時には決して坐骨神経を上から押すということはせずに、坐骨神経をよけて内閉鎖筋群の緊張をとることが必要となってきます。
また骨盤後傾を助長している原因を解決することも必要となります。高齢者の場合はトレーニング指導が容易ではないので中々難しいことが多いです。
実際に当院で治療を受けておられる患者様は83歳です。一時期痛みは全くなくなったのですが、映画を3時間見たあとにまた悪化したという苦い経験があります。こまめに立ち上がったり骨盤を一時的にでも起こすような動作をしてもらうなどの指導が必須となります。
